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フレームから内燃機まで加工作業は自社で消化

40年以上前に生産されたZを新車のような状態にリフレッシュさせることで、そこから先も安心して乗れるようにカスタマイズしたコンプリートマシンGT-M(ジェニュイン・チューニング・マシン)をリリースしているブルドック。それらのマシンはこれまで本誌においても幾度となく登場していることから、今さらその完成度の高さについては語るまでもないだろう。

ブルドック エンジン
自社で内燃機加工を行なうようになったのは、「内燃機屋では求める精度が得られなかったため」というだけに、ブルドックでは10年以上前から精度にこだわったエンジンを作り続けている

そんなクオリティの高いコンプリートマシンの製作で知られるブルドックの代表を務める和久井維彦氏が、現在の栃木県・足利市にショップを立ち上げたのは2001年。最初の1〜2年は一般的なカスタムショップのように、パーツの交換やセットアップを中心に行なっていたそうだ。しかし、何度かエンジンのボーリングやホーニングなどの内燃機加工を専門業者に出していくうちに、その仕上がりの精度に満足できなくなったため一念発起。中ぐりフライス盤やホーニングマシンなどの内燃機加工を行なうための工作機械を次々と導入し、すべての作業を自社で行なうことになったという。

「たとえば±1/100以内で仕上げてほしいモノが、そこから外れた状態の寸法で戻ってくる。仕上がりの精度にバラつきがあったんですね。そのまま組んでもエンジンが長持ちするはずはありません。それで自分たちでやることにしたんです。当店はつねに公差が規定値の1/100以内で仕上げているので、耐久性が高く、パワーロスの少ない、いいエンジンが作れるようになりました。機械加工に精通したスタッフのおかげですね」

精度にこだわり追求する新車以上の状態のよさ

こうして精度の高い内燃機加工を追求しているブルドックでは、現在エンジン以外のパーツについても徹底的に寸法精度にこだわっている。コンプリートマシンを製作する際には、すべてバラバラに分解したうえで、ネジ一本に至るまで構成部品の状態を細かくチェック。フレームは専用設計した測定治具に固定して、経年劣化にともなう歪みやねじれなどがないか徹底的にチェックしている。その際にサビや腐食などで強度が著しく低下し、安全かつ長く使えないと判断したモノは、たとえ希少なZのフレームでも破棄して使わないようにしているそうだ。

「とくに最近のZはフレームにダメージを抱えているモノが多いので、入念にチェックするようにしています。すべてチェックして修正したうえでエンジンを載せないと、エンジンの搭載位置がズレてしまい、ホイールセンターとの兼ね合いが取れなくなり、チェーンラインも適正化できなくなりますから。これはどの車種でも言えることなのですが、カスタムする際にはフレームが完全な状態であることが大前提なんですよ」

なお、コンプリートマシンの電装系については現行モデルの純正部品が使えるように加工することで、何かトラブルがあっても容易に部品が手に入り、どこのバイク屋に持って行っても修理ができるようにしているという。こうした細かな部分まで“新車以上の状態のよさ”にこだわっているのだ。

高い精度を実現するための工作機械

同社では内燃機加工も外部の業者には依頼せず、ボーリングやホーニングなどの作業は重整備専門のスタッフが行なっている。なお、ボーリングはシリンダーボーリングマシンではなく、中ぐりフライス盤を使用することで精度の高さを追求。その他の作業は必要に応じてベッド型と多機能型のフライス盤を使い分けているそうだ。

フレームの歪みチェックから始まるマシンづくり

同社ではコンプリートマシンを製作する際に、まずベース車両を全バラ状態になるまで分解して、すべての部品の状態を細かく検査する。フレームは専用の測定治具に乗せて歪みやねじれなどがないかどうかを徹底的にチェックし修正している。どんなにいいエンジンや足まわりを作っても、ベースとなるフレームがしっかりしていなければ、本来の性能は発揮できない。

10年先を見据えた耐久性

同社では長く乗ってもらうことを前提にマシンを作り込んでいるため、エンジンをオーバーホールして組み立てる際には、測定工具を駆使して歪みやクラックなどが入っていないか徹底的にチェックしている。近年のZ系モデルはシリンダーヘッドにダメージがあるモノが増えてきたため、そうした粗悪品を無理に使わずにすむよう、代替品を多数ストックしているそうだ。

正確な作業を行なうための測定機器

内燃機加工の作業についてはすべて自社で行なっているブルドックでは、精度の高い加工を実現するために、シリンダーゲージやマイクロメーターなどの測定機器も多数そろえている。ピストンクリアランスについては規定値の1/100mm以内に収めるようにしている。

WEBサイト「GO DOCK」を開設

ブルドック GO DOCK
2001年の創業時より、空冷Zをメインにイベントに出展したショーモデルやカスタムマシンの雑誌掲載など数多く話題のバイクを生み出してきた。バイク雑誌などでも露出の多い和久井氏だが、そこでは語られることのなかったオリジナルパーツの誕生秘話をはじめ、モノづくりへのこだわりやBULL DOCKの歴史などがインタビューが紹介されているサイト「GO DOCK」を開設した。読めばBULL DOCKが身近に感じられるだろう。

GT-Mメンテナンス・サービスショップ

ブルドック GT-Mメンテナンス・サービスショップ
全国各地からオーダーを受けるGT-M。しかし「納車後のメンテナンスはどこに頼めばいいのか」「消耗パーツの交換、ちょっとした修理などでもお店に持って行くのがネック」といった声がたびたびあるという。そこでBULL DOCKと普段から取引のあるプロショップを「GT-Mメンテナンス・サービスショップ」として登録。全国各地のGT-Mオーナーが安心してメンテナンス、修理、車検の相談ができる体制を整備している。
ブルドック 社屋外観
現代のパーツでリフレッシュしたコンプリートマシンGT-M(ジェニュイン・チューニング・マシン)を手がけるZの専門店。近年はミッションやホイールなどの商品開発にも力を入れている
内燃機と車体まわり担当の河内氏(写真右下)
電装関係の組み付け&試作担当の相場氏(写真左下)
ブルドック 和久井氏

同社のスタッフは内燃機と車体まわり担当の河内氏(左)、電装関係の組み付け&試作担当の相場氏(中)、セットアップと最終チェックを行なう和久井氏(右)の3人だ

ブルドック


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