パワービルダー 店舗外観
国道364号と県道136号線(高崎菅生線〜高崎坂東線)の交差点・神田山信号のすぐそばに位置するパワービルダーの新店舗。道往くドライバーからの注目度も高い。看板は夜間になると赤い背景にロゴが白く点灯する

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チューニングは調整し、安定性を高める作業だ

2001年に設立したパワービルダーは、全国的な知名度を誇るエンジンチューニングショップだ。代表の針替伸明氏が手がけたエンジンは性能面の向上と信頼性の高さに定評があり、全国からチューニング依頼が舞い込んでいる。では、針替氏はエンジンチューニングをどう考えているのだろうか。ここであらためて紹介したい。

「エンジンチューニングに対する誤解の一つが“チューニングするとエンジンの寿命が短くなる”という考えです。チューニングしたことでエンジンが壊れてしまったり、各部パーツの寿命が著しく短くなった場合、チューニングの過程で何かを間違えていることが多いです。これは自分自身でも数多くの失敗を繰り返したことでわかった部分もあります。
エンジンチューニングとは基本的に燃料を効率よく燃焼、排出させるサイクルを生み出す作業でもあります。その過程ではクランクシャフトの芯出し処理やキッチリとしたメタルクリアランス、各部の重量の均一化を行ないます。そういった手段を用いる目的は、エンジン内の運動を阻害しないようバランスさせるためです。そのバランス化の結果としてスムーズなエンジン回転とトルクアップなどにつながります」

丁寧な作業で性能を引き出し信頼性も高める

針替氏は16歳からプライベーターとして四輪やバイクのエンジンを数多く手がけてきた。そのなかでは、雑誌でもよく見かける定番メニューを組むとどうなるのか、あるいは雑誌で紹介されたAという手法と別のBを組み合わせるとどうなるかを実証していった。とくに開業前の5年間、プライベーターとしてテイスト・オブ・フリーランス(現テイスト・オブ・ツクバ)や鈴鹿8耐などに参戦した際の成功例・失敗例が大きな財産になっていると語る。

「肝心なのはバランスだとその当時、気付きましたね。チューニングメニューには要・不要もあって、存在する方法すべてを投入すれば、無条件でいいエンジンになるとは限りません。必要に応じて必要な加工や調整、変更を行なうのが重要。そのためチューニング時には個々人の要望を必ず伺うようにしています。今までどんな走り方をしていて、これからどう走りたいのか。現状の何に不満を感じ、どの要素を伸ばしたいのか。それによってメニューの要・不要もわかりますし、金銭的負担も低減できますからね」

この調整がキモで、ピストンやカムシャフトが純正でも、バルブタイミングを適正に整えることで、よりよいフィーリングを引き出すこともできるのだ。そしてフィーリングがよくなれば、走ることが楽しくなる。

「チューニングエンジンは燃焼効率が向上し、内部抵抗もバランス取りなどで低減されるので長寿命化・高燃費が期待できます。そのエンジンの素性を引き出すよう、車体を作り込むことで恩恵はより大きくなるでしょう。エンジンチューニングに対するネガティブな意見は根強いですが、各部パーツの寿命を代償としてパワーを得ているわけではありません。当社はとくにレーサーでもストリートマシンでも、扱いやすい特性と壊れない信頼性を何よりも優先していますから」

パワービルダー 店内スペース
余裕のあるスペースには同社を代表する#29 GPZ900Rレーサーや同社に関係するレーサー、レース関連のグッズ、パーツが並ぶ。とくにレース畑で活躍を続ける同社イメージを補強する店構えだ。また内装はファクトリーを意識しながらオシャレな空間を演出

加工や調整によりパワーと信頼性を向上

エンジンチューニングというと、まず鍛造ピストンやハイリフトタイプのカムシャフトといったチューニングパーツの導入が頭に浮かぶだろう。ではこの鍛造ピストンを使うことで何をねらうのか。カムシャフトのリフト量を増やすことで何をねらうのか。当然ながら、交換したことでどんな違いが生まれるのかを熟知し、ねらった特性を引き出すためにそれらパーツを使うのがチューナーの役割であり、腕の見せ所。単にパーツを組み込むだけの作業はチューニングとは呼ばないのだ。そのうえで、チューニングパーツの特性をフルに引き出すため、パーツそのものやエンジン各部に加工がほどこされることも少なくない。これらの加工によってエンジン全体の精度も高め、パーツの生む効果をフルに引き出しているのだ。

パワービルダー エンジン保管
同社にはつねに複数の分解されたエンジンが保管されており、同社の指示を受けた加工業者や内燃機業者で各パーツを加工後、同社で組み立てられている

豊富な工具を駆使して設定

エンジンチューニングは単にパーツを組み込む作業ではないと上で触れたが、組み込む作業が軽視されているわけではない。組み込みは本来、精緻を極める作業。定められた精度を最低限クリアし、さらに円運動を司るパーツなら真円に動くように組まなければならない。そのために各種測定器が必要で、同社でも内燃機に関する測定用機器を非常に豊富にそろえている。ここではそのごく一部を紹介する。これらはすべて用途ごと・パートごとに使い分けられており、たとえばマイクロメーターにしても面計測・点計測といった具合に、工具ごとに用途が異なるため、必然的に増えていくそうだ。一般的なカスタムショップでは所有していないモノも多く、それらを駆使して最適な状態を作り上げている。

パワービルダー 測定機器
「普段使う測定機器を見せてください」と頼んだところ、取材担当がストップをかけるほど次々に出てくる機器類。写真中央に見えるのはハンダで、これがないとエンジンをギリギリまで詰めたセッティングはできないほど重要だ

状態を可視化する

パワービルダー 状態を可視化するエンジンチューニングした結果は、何かしらの方法で数値化しなければ「パワーアップした気がする」という個々の感想で終わってしまう。そしてトルクが薄いとかトルクフルといった感想を抱いたとして、それを修正・是正するにしても、何かしらの指針が必要だ。そのため同社ではシャーシダイナモで何かしらの変更ごとにチェックし、その変更した結果をデータ化。そうやって蓄積したデータをチューニングにも反映させている。

パワービルダー

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