プロフェッショナルカスタムマシン

プロの製作したカスタムマシンは、市販化されたパーツをただ取り付けるだけではない。取り付けたパーツの性能をフルに発揮できるようにセッティングしたり、細かいフィッティングにもこだわっていて、それがひいてはマシンとしての完成度の高さに結び付いているのだ。その実例をここでは紹介する。

カワサキ
Z1 by サンクチュアリー本店

最初からそうであったかのように整えられた佇まいを見せるZ1

Z1 by サンクチュアリー本店

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カスタムとは市販車を自分好みの形や性能に変更する行為のことでもある。どんな形にするかという部分は人それぞれだが、市販車に市販パーツをそのまま装着するだけでは満足できないという人も多いだろう。そこでひと手間かけて塗装や加工をほどこしたり、取り付け方にとことんこだわってみる、という人も少なくないと思われる。このアメリカンドリーム製アッパーカウルを装着したZ1もまた、サンクチュアリー本店としてのこだわりが注ぎ込まれて作られた1台だ。

アメリカンドリーム製アッパーカウルは1970年代のロケットカウルをモチーフとしたパーツでカスタム界隈でも人気。サンクチュアリー本店でも装着例は過去にもあるとのことだ。そして空冷Z系対応としてリリースされているだけに、アッパーカウルが入手できればこのマシンとほとんど同じ見た目のZ1が手に入る。

ただ、実はこの撮影車両はアメリカンドリームの仕様そのままではない。微妙な角度や取り付け方法に至るまで、さまざまな点から再検討し、装着部分は大部分をワンオフで作り直したとのこと。では、なぜそのように手間をかけているのだろうか? その答えは、最初に触れたように”こだわり”ゆえだ。

「誤解していただきたくはないのですが、アメリカンドリーム製アッパーカウルそのものはいい出来です。ですが、当社としては歴代のフラッグシップに現代に通用する走行性能を追求する、というのが何よりも優先される要素です。そのために市販パーツそのままを装着してよしとはせず、カウルを装着するならカウルマウント方式から妥協はできません」

Z1 by サンクチュアリー本店

このように語るのは同社・中村博行代表。アッパーカウルを装着させるうえで、一番の利点は空力特性の向上のみならず、フロントヘビーになり得る要素を取り除ける点だと中村代表は指摘する。すなわち、ブラケットに配置されているメーターやヘッドライトをフレームマウントさせることで、ハンドリングを軽快にすることができる点を評価しているというわけだ。そのためメーターは2005年式Z1000の純正を移植しつつ、メーターもステーを追加工してフレームマウント化。純正の砲弾メーターは意外なほどの重量物であるし、ヘッドライトはいわずもがなだ。それらがフレームマウントさせるうえで、より理想の位置に近付けることを目指し、ステー類をワンオフしたというわけだ。さらに、カウルのFRPファイバーとステーの取り付け部をよりマッチさせるべくステーを修正したり、本来は存在しないカウル下部左右にもブラケットを追加して強固に車体を固定させている。これもできるだけ自然に、あたかも最初からそういう仕様があったのかと思わせるほどに、ミリ単位でこだわりぬいた。

そして、このマシンはただアッパーカウルを装着しただけではない。サンクチュアリー本店を旗艦店とするサンクチュアリーグループでは、コンプリートカスタムマシンRCMを製作するうえで、走行性能を追求するうえで欠かせないタイヤである17インチラジアルタイヤを装着できるよう、シャーシの構成から見直している。自社開発したスカルプチャー製スイングアームやブラケットで17インチ化した際のスイングアーム垂れ角やフロントのキャスター・トレールなどを適正化し、そのうえでO・Zレーシング製ホイールやオーリンズ製前ショックユニット、ブレンボやサンスターなど国内外で信頼性の高いパーツで車体を構築しているのだ。

RCMとは、カスタムシーンにおいてものすごく派手な存在ではない。カスタムに詳しくない人からすれば、このZ1などはアッパーカウルを後付けしたとすら気付かないかもしれない。しかし、RCMは派手とは言われなくてもキレイなマシンだと言われることが多い。キレイとは単に磨き上げた美しさなどに限らず、その佇まいにも用いられる表現でもある。デコレーションとは異なる、一つのバイクとしての完成度の高さ。このキレイさを形として表現したのが、このマシンなのだ。

カスタムポイント

Z1 by サンクチュアリー本店

ミラーマウントやカウル下部の左右ステー、中央のヘッドライト用ステーなど大部分を作り直して装着されたアメリカンドリーム製アッパーカウル。細かなこだわりを反映させてこそRCMという哲学のもと、オーナーと位置関係などを相談しつつ、かつ整備性も考慮して純正ライクな使い勝手も追求するという、非常に手間がかかったパートとなった。


カスタムパーツギャラリー

  • Z1 by サンクチュアリー本店
    メーターは2005年式Z1000純正。同社ではFZR1000やZ1000、ZX-9Rなどの純正デジタルメーターを移植するケースも多い。純正ならではの信頼性の高さと、加工の少なさ(これ以上新しいとコイルのパルス方式が異なりタコが取りにくくなるとか)が決め手だ
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    フロントブレーキマスター、クラッチマスターはともにブレンボRCSラジアルマスター。高く評価される高い信頼性やタッチ感のよさから採用した。レバーはジータがリリースするRCMコンセプト。超高速域を想定した穴あけ加工がレーシーだ
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    ポッシュのスーパーローバーは同社では古くからの定番チョイスで、このハンドルバーを基準にするとカウル位置もおのずと決まってくるとのこと。ミラーもフレームマウント化させハンドルまわりの重量を低減させ、軽いハンドリングを追求
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    同社ではオーリンズ正立フロントフォークとフロントフェンダーと天吊り用ステー、キャリパーサポートなどをセットにしたE×M(エクスチェンジモード)パッケージをリリース中。フロントフォーク交換時に必須な細々としたパーツもセット購入できることから同社人気商品だ
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    エンジンはピスタルレーシング製ピストンを用いて958㏄化するが、モアパワーを追求するのではなくロングライフを重視した"ライフパッケージ"メニューでオーバーホール。それでいて吸排気と点火の変更で十分パワフルな特性を得たとのこと
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    フレームは17インチラジアルタイヤがもたらす強烈な応力にも対応できるよう、同社オリジナル補強メニューが加わる。実用域でそれほどの応力はかからないのが実態だが、極限的な走りにも対応できるようにとの同社の姿勢が現れるパートだ。それでいてガチガチに固められた印象を削ぐよう、しなりも意識される
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    ホールは前後ともO・Zレーシングの最新モデル、ガスRS-A。もとはZRX1200用だが、最初にZRX1200系をベースとした足まわりを構築することで将来的な拡張・変更にも柔軟に対応できるようにとの意図だ。またブレーキはブレンボ製ラジアル4ポットキャリパーとサンスター製ローターという一級品同士の組み合わせだ
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    エキゾーストシステムはナイトロレーシングのチタン製ヒートポリッシュエキゾーストパイプと、同ナイトロレーシングのグレネードV-3を組み合わせた。磨き上げられたエキゾーストパイプの美しさにはファンも多い
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    ステップもカスタムシーンで人気が高いナイトロレーシング製をチョイス。シンプルな造形なので主張しすぎることがないので車体と合わせやすく、また操作性も加味してベアリングを内蔵するなど実用面にも配慮したパーツだ
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    スプロケットカバーはナイトロレーシングのタイプ2。これは後端を取り外せるようにすることで整備性を向上させつつ、別色に変更することでカラー変更も楽しめるというパーツだ。またスピードセンサーの取り出しも中央に用意し、スプロケットからのスピード検知にも対応
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    リヤブレーキはコーナリング中の車体姿勢の制御やコーナリングのきっかけ作りとして近年重視されるパートだ。そのため瞬間的な応力発揮ではなく、コーナリング時でもブレーキ操作可能な効かせ方を重視したチョイスとした
  • Z1 by サンクチュアリー本店
    スイングアームはスカルプチャーのRCM専用品で、さらにレーシングスタンドフックやスタビライザーを追加工した豪華な仕様となる。なおRCM専用品は市販品とはチェーン引きが異なる。精緻な作り込みを見せるチェーン引きにもRCMの精神が宿っているのだ
問い合わせサンクチュアリー本店
住所千葉県柏市大井554-1
電話番号047-199-9712
Webサイトhttp://www.ac-sanctuary.co.jp



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