パーツメーカー

日本国内のみならず、世界各国に多数存在するカスタムパーツメーカー。各社はそれぞれの理念に基づき、多様な製品を日々開発している。当コーナーは、そんなパーツメーカーの思いや歴史、舞台裏などに迫る。

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治具や機材をフル活用して高品質な製品づくりにまい進

ウィリー製品の特徴のひとつが精度の高さ。精度の確保には治具の存在が欠かせない。ただし、治具さえあればキッチリと精度が出せるというものではない。下の写真を見ればわかるとおり、治具には最低限の位置決めの機能しかない。金属の特性を知り尽くし、どんな形状の治具が必要なのか? その治具をどう活用するかを考えることが重要になるのだ。

CB-F用オリジナルアルミフレームも過去に製作

ウィリー CB-F用オリジナルアルミフレーム

ウィリーでは数々のオリジナルフレーム車を製作した実績がある。その多くは、レーシングマシンだが、なかには認可を取った公道走行可能な車両もある。日本の法規制下ではオリジナルフレームのナンバー取得は非常に困難だが、ウィリーはそれを可能とする技術力を持っているのだ。これは、30年ほど前、保光氏が製作したオリジナルフレームのひとつで、CB-Fエンジン搭載用のアルミフレーム。

ウィリー CB-F用オリジナルアルミフレーム
これはGPZ900Rのオリジナルフレーム製作時に使用した治具。クランクケースを基点にして、エンジンマウントやピポット、ステアリングヘッドなどを定位置に設定

さらに、ウィリーではスイングアームと並ぶ、看板パーツであるビレットパーツ製造に使用する機材として、NCフライスマシンをはじめ、高性能な大型工作機が使用されている。特筆すべきは、3Dスキャナーの導入だろう。パーツ形状の正確な三次元計測が可能となったことで、パーツ開発のスピードが飛躍的に向上したという。3台のNCフライスマシンがフル稼働して、ハイクオリティなビレットパーツを生み出している。

走行会&レースの開催にも尽力

アマチュアレースやサーキット走行会を運営しているONE & TWOクラブは、九州43社のショップを中心に運営されている団体。富永氏はその発起人であり、会長を務めている。そのコンセプトは”バイクを全開で遊べる場所を提供したい”というもの。その主旨にのっとり、年2回のレースと、年3回の走行会をオートポリスで開催。九州のライダーだけでなく、日本各地からライダーが集まるイベントとして盛況となっている。

CUSTOM MACHINE

Wheelie WR1135R

ウィリー Wheelie WR1135R

ウィリーが製作したGPZ900Rベースのオリジナルフレームレーサー。フレーム形状はノーマルと同様のダイヤモンド式を採用するが、素材をクロモリに置き換えることで剛性を大幅にアップ。左右のバックボーンにブリッジを設けるなど構造も異なっている。ステアリングヘッドも低めの設定。

ウィリー Wheelie WR1135R 車体
オーナーが小柄であるため、なるべくコンパクトに作ることを意識したという車体。フレーム幅自体ノーマルより細く、アルミ製のシートレール部分は非常にスリムに作られる

Wheelie WR-10R

ウィリー Wheelie WR-10R

ZX-10Rエンジンを搭載したオリジナルフレームレーサー。メインフレームはクロモリパイプ製のトラス構造で、アルミ削り出しのピポットと組み合わせたハイブリッドフレームとなっているところが特徴といえる。フレーム形状は、現代的なツインスパー構造的な発想をもとに作られている。

ウィリー Wheelie WR-10R 車体
トラス部分に使用したクロモリパイプは、φ35㎜/1.6㎜厚。アルミ削り出しのピポットプレートは前方に大きく伸ばされ、エンジンを支持する強度メンバーの役割もはたす

※本記事はカスタムピープル188号(2019年2月号)掲載記事を再編集したものとなります。時系列はとくに断りがない限り、記事製作当時のものとなります

取材協力ウィリー
TEL0985-27-7785
URLhttps://wheelie.jp


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