カスタムの疑問

自分好みの乗り味やスタイルに愛機を構築していくのがカスタムだ。自由な発想のもと、理想形に近付けていくことは、バイクライフにおける楽しみの一つでもある。しかし、いくら自由な発想といっても、押さえておかなければいけないポイントは多数ある。公道を走る以上、安全面や法規面でクリアしなければならない要素は多く、また正常に各部を機能させるためのノウハウも必要になるのだ。そこで多くのライダーが抱いているであろうカスタムに対する疑問を抽出し、その解答を探っていく。

アールズ・ギア マフラー

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愛車をカスタムする際、どのようにパーツを選び、どうカスタムしていくのか。その参考となるアフターパーツの基礎知識をパーツごとに紹介する。今回はマフラーだ。カスタムを楽しむときの定番中の定番といえるマフラー交換だが、そもそもマフラーを交換するメリットとは何か。そこでマフラーの基本的な役割から、アールズ・ギアの協力のもと解説する。

内燃機関には欠かせないマフラーの役割

マフラーとはエンジン内で発生した排気ガスを排出する装置で、エンジンから直に排出すれば高温のガスが噴出し、さらに膨張して大きな音となるため、それをマフラー内で減圧し車体後部から排出するためのモノ。

バイクや四輪のような内燃機関(エンジン)を動力源とする乗り物では、排気ガスの排出は欠かせなく、排気管(マフラー)はなくてはならないものである。エンジン内の燃焼室では吸入、圧縮、燃焼、排気の4行程が周期的に行なわれている。この排気のときにエンジンの排気バルブが開いて燃焼室から排気ガスが排出されるが、その排ガスは高温高圧となっており、そのまま大気中に放出してしまえば爆音となってしまう。

また、排ガス自体が高温となっているため、周辺パーツ、さらにはライダーへの影響も深刻だ。そのため、マフラーを通して車体後部に排ガスを導き、その間に排圧を減圧しながら排ガス中の有害物質を除去し、さらには吸音して大気中に放出している。

マフラーは古くは1気筒あたり1本の排気管だったが、これが1970年代に、4本を途中で1本に集合させるする集合マフラーが登場した。今ではアフターパーツマフラーの主流は集合となっている。この集合マフラーを発明したのは、ヨシムラ創始者の吉村秀雄氏だ。

アールズギア 集合マフラー
2本出しマフラー
4本出しマフラー
かつて純正のマフラーはZ1/Z2やCB750FOURなどのように4本出しと呼ばれる1気筒1本が主流だったが、集合マフラーが開発されると、純正マフラーも集合マフラーとなる(写真右)。2本出しマフラー(写真左)は音量と重量バランスで採用されているという。

排気脈動とは?

エンジン内燃焼室で発生した高温高圧の排ガスが排気バルブからマフラーに排出される際、急激な圧力変動が起こる。このときに発生した圧力波は音速で排気ガスとは別にマフラー内を行き来する。これを排気脈動と呼び、マフラーの外に向かうものを正圧、マフラー内で反射しエンジン側に戻るのを負圧と呼んでいる。この排気脈動を利用することで、燃焼室内の排ガスを吸いだす効果が得られたり、逆に燃焼室内に充填された混合気の漏れを抑える効果が得られたりする。

排気脈動の解説イラスト

マフラー交換がカスタムの花形となっている理由とは?

マフラーは大きく分けると、エンジンの排気ポートから集合部までのエキゾーストパイプと、集合部、そしてテールパイプとサイレンサーで構成されている。純正マフラーとアフターパーツのマフラーでこの構成は大きくは変わらないが、両者で大きく違うのが、まずはそれぞれの重量である。これは使われている素材の違いと、サイレンサーの内部構造の違いなどによるもので、たとえば、アールズ・ギアのマフラーで比較してみると、ZRX1200ダエグ用で純正マフラーが14㎏なのに対し、同社のフルチタンマフラーのワイバンは3.5㎏と10㎏以上の軽量化となる。これだけの重量の変化は車体の取りまわし、そしてパワーウエイトレシオにも大きく影響する。さらにバネ下重量が軽減したことで運動性能も大幅に向上する。

ほかにもマフラー交換のメリットで挙げられるのはパワー特性の向上だ。同じくZRX1200ダエグで比較した場合、最高出力は18㎰、最
大トルクも1kgf・m向上している。しかも、アールズ・ギアでは常用回転域での扱いやすさを重視したパワー特性としており、重量の軽量化に加えてこれだけのパワーアップにより、加速や減速はもちろんのこと旋回性、制動力などバイクの運動性能がトータルで飛躍的に向上する。乗り方にもよるが、場合によっては運動性能が上がっているのに燃費が向上するケースも決してめずらしくないという。また、純正とアフターパーツのマフラーではデザインの違いも大きな違いであり、エキゾーストパイプの取りまわしやパイプの曲線の美しさ、集合部の形状、さらにサイレンサー形状の違いなどによりドレスアップの効果も得られる。さらに、音質も変化することで、迫力のあるエキゾーストノートにもなるのだ。これだけの効果が体感できるからこそ、マフラー交換はカスタムの花形となっているのだ。

Z900RSの純正マフラー
写真はZ900RSの純正マフラー本体で、集合部後部に大きな箱状ものがある。これがキャタライザーやサブサイレンサーとなっており、サイレンサー本体は小型なモノとなっている
マフラー内部のパンチングパイプ
最近は純正もアフターパーツもサイレンサーを小型にするケースが多いが、そうなると音量を下げることができない。そこでサブサイレンサーを設けて消音を行なうことも
取材協力アールズ・ギア
TEL0595-85-8778
URLhttp://www.rsgear.co.jp


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