大人のカスタムにこだわり、“ワイバン”ブランドのマフラーを中心に、多様なパーツを生み出すアールズ・ギア。その性能と品質に定評のある同社は、技術力の向上、さらなるクオリティを目指し、日々研鑽を重ねている。
乗り手の気持ちを重視して満足度の高い製品を追求
1980年代から90年代のレースシーンで活躍した樋渡 治氏が、今をさかのぼること20年前、三重県鈴鹿市に立ち上げた二輪パーツメーカー、アールズ・ギア。代表的な製品であるワイバンブランドのマフラーをはじめ、シートやポジション系パーツなどを販売している。その性能の高さはもちろん、品質の高さにも定評があり、多くのカスタムファンから支持されている。
「私が会社を立ち上げたころのマフラーは、ピークパワーのアップが着目されていて、パワーの特性や扱いやすさ、そして騒音等の環境性能はさほど注目されていませんでした」
このように語る樋渡氏は、日本を代表するレーサーとして活躍しつつ、プライベートでもツーリングを楽しんでいた。そして、いちバイク乗りとしての視点を製品作りに積極的に反映し、その特性やクオリティ、環境性能を重視した製品を世に問うたのである。
「マフラーは単なる煙突ではありません。その製品に交換することによって、より気持ちのいいエンジン特性にしなければならず、なおかつバイクのグレードも上がるようなデザインでなければなりません。弊社は、ユーザーがバイクをどのように使っているか、そしてどのような製品を求めているのかということを考えて製品を開発しており、すべての製品は公道での扱いやすさを第一に考えています。この姿勢は、創業以来一貫しております」
“バイクに乗る人間が作る製品”という企業の姿勢は、樋渡氏のみならず、スタッフ全員が共有している。同社の恒例行事のひとつに、スタッフによるツーリングがあるのだが、こういった企画も、バイクで走る楽しさをスタッフで共有し、その気持ちをモノ作りに活かしてほしいという樋渡氏の想いの現れなのである。
「製品を作る人間もバイクに乗っているということが弊社の基本的な考えなんです。たとえばワイバン・コンフォート(シート)は、私のバイクのノーマルシートの感覚が私にとってあまりよくなかったため、より乗りやすいシートが欲しくて作ったモノなんです。ハンドルまわりのパーツやステップなど、弊社が出しているポジション系パーツも、自分自身が乗りやすいようにと考えたパーツばかりです。やはりバイクは乗って楽しむモノ。どうしたらもっと快適に走れるようになるかということをつねに考えています」
創業時の理念を一貫しつつ、製品の品質についてもつねに高いレベルを追求し続けてきた。20年という年月のなか、社内の技術レベルやデザイン力は年々進化を続けており、16名のスタッフも、会社が掲げる理念を理解し、高品質の製品を目指して切磋琢磨している。
「弊社は創業時より車検対応のマフラーを作っています。当時、お客さまから『もっと大きな音のマフラーが欲しい』という声が多かったのですが、近年は音量ではなく、音質を重視されるお客さまがほとんどになりました。バイクという乗り物は独りよがりで楽しんでいてはいけません。世のなかにはバイクに興味がないという人も多くいますが、そういった人たちが、弊社の製品を通じてバイクに興味を持っていただけるようになれば幸いです。
近年では国産バイクで長距離ツーリングを楽しんでいる方が増えており、若いライダーも徐々に増えてきているように思います。弊社はそういった方々にもっと喜んでもらえるよう、マフラーをメインとしつつ、ポジション系パーツなど、今後も多様なパーツを展開し続けていこうと考えております」