パーツメーカー

日本国内のみならず、世界各国に多数存在するカスタムパーツメーカー。各社はそれぞれの理念に基づき、多様な製品を日々開発している。当コーナーは、そんなパーツメーカーの思いや歴史、舞台裏などに迫る。

アクティブの製品

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1989年に輸入パーツを取り扱う商社として立ち上がったアクティブは、2002年からパーツメーカーとしての業務に注力。同社の代表的なブランドとなる”ゲイルスピード”からアルミ鍛造ホイールがリリースされると大ヒットとなり、足まわりパーツを中心に現在も各種パーツ開発・販売を続ける業界の雄だ。

商社として生まれたのちメーカーに大きくシフト

ホイールやサスペンション、ブレーキ関連のパーツに加え、外装パーツや電装パーツなど、多様なオリジナルパーツを展開するカスタムパーツメーカーの雄、アクティブ。同社は1989年に輸入パーツを取り扱う商社として立ち上がった。創業時からオリジナルパーツもリリースしていたが、そのラインナップは一部のオフロードバイク用のみで、現在のようにロードバイクが中心というわけではなかった。やがて国内問屋業務を開始すると会社規模も拡大し、ホイールメーカーのマービックやダイマグ、マフラーのアクラポビッチなど、海外有名ブランドとの代理店契約も締結。二輪アフターマーケットにおいて、確固たる地位を獲得している。

問屋業務と並行し、同社はオリジナルパーツを積極的にリリースし続けた。ただしラインナップ内容は次第に変化し、市場の動向を受けてオフロード用パーツは少なくなり、オンロード用パーツが多数を占めるようになっていった。

1992年には、現在も広く支持されているサブフレームキットをリリース。その後も流用サスペンションキットを開発するなど、多彩なパーツを展開するのだが、2002年には問屋業務に区切りをつけることになった。「自らが理想とする製品を、自分たちの手で生み出したい」と考え、同社はパーツメーカーとして、業務を大きくシフトすることになった。

「商社をやっていると、どうしても価格競争などに巻き込まれてしまうんですね。また、たとえば『ここはこうしたほうがもっとよくなる』といったようなリクエストをメーカーに出してみても、そういった声が反映されることもありませんでした。『それだったら自分たちで作ったほうがいいよね』という声が社内で聞かれるようになり、会社を商社部門とパーツ部門に分けようという話も出ていたんです。2002年の改革によって、スタッフ全員が、バイク用パーツメーカーとしてのひとつの目標に向くようになりました」

このように語るのは同社代表(※記事製作当時)の西山徹也氏だ。

性能と品質の高さがカスタムシーンをけん引

パーツメーカーに生まれ変わった2002年には、オリジナルブランドの”ゲイルスピード”を設立し、アルミ鍛造ホイールをリリースする。当初は生産を委託していたのだが、2008年より自社工場での製造を開始。同ブランドの製品としては現在、ホイールのほかにブレーキ&クラッチマスターシリンダー、ブレーキディスクを開発・販売している。あわせて、ステムキット、スイングアーム、ハイパープロ社とのダブルネームで展開するサスペンションなど、足まわりを中心としたパーツを積極的に開発する。

ホイール

ステムブラケット

アクティブ ステムブラケット
ハンドリング性能の向上に欠かせないのがブラケットである。自他ともに認める足まわりのスペシャリストとして、同社はさまざまな車種に向けてオリジナルブラケットを制作。偏芯カムを用いた可変オフセットタイプなど、多様なカスタムモデルに向けた製品を生み出し、カスタムファンから支持を受ける
アクティブコンバーチブルステムキット
ステムシャフトに偏芯スペーサーを介することで、オフセット量の変更が可能になるアクティブコンバーチブルステムキット
アクティブ ステムキット
超々ジュラルミン(A7075)を用いて強度解析を徹底し、同時に極限まで肉抜きすることでたぐいまれな高強度、軽量化を実現

スイングアーム

アクティブ スイングアーム
縦方向を長くすることでねじれ剛性をアップすると同時に、横方向の剛性を抜いて適度なしなりをもたせることで旋回性能を向上させるプレスフォーミングスイングアーム。レースシーンではおなじみとなったスイングアーム構造だが、同社はこの技術をストリートにフィードバックした

リヤショック

フロントフォーク

アクティブ ハイパープロ フロントフォーク
リヤショック同様、ハイパープロとのダブルネームで開発したフロントフォーク。ハイパープロ社特有のコンスタントライジングレートスプリングの特性を活かし、上質な乗り心地を追求。GPZ900RやCB1300SF、ZRX1200ダエグといった人気モデルに合わせて専用設計している

「製品作りに関しては、どういった製品を、誰に向けて作るのかということを、じっくりと時間をかけて明確化するよう心がけています。製品のコンセプトが明確でないと、どんな製品でも決して長続きすることはないんです。その製品で求められる価値を絞り込み、不要な要素をどんどん切り捨てることで、製品コンセプトはよりユーザーさまに伝わりやすくなるんです。もちろん製品の安全性についても時間をかけて追求しております。たとえばホイールなどは、製品化するまでは2年ほどの時間を費やしました」

同社がとくに力を入れて開発している主力商品は、前述したように足まわりを中心とした商品群である。さまざまな車種に応じたデザインのホイールや、ハイパープロとダブルネームで展開するサスペンション、そしてブレーキパーツなど、快適で安全なライディングを楽しめるパーツラインナップとなっている。「ゆくゆくはシャシーも開発してみたい」と、西山氏は将来にむけた展望をのぞかせた。

取材協力アクティブ
TEL0561-72-7011
URLhttp://acv.co.jp


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