カスタムの疑問

自分好みの乗り味やスタイルに愛機を構築していくのがカスタムだ。自由な発想のもと、理想形に近付けていくことは、バイクライフにおける楽しみの一つでもある。しかし、いくら自由な発想といっても、押さえておかなければいけないポイントは多数ある。公道を走る以上、安全面や法規面でクリアしなければならない要素は多く、また正常に各部を機能させるためのノウハウも必要になるのだ。そこで多くのライダーが抱いているであろうカスタムに対する疑問を抽出し、その解答を探っていく。

自動車検査証

ページを共有

2022年に発表・発売されたモデルのなかで、車種名を継続しながらも型式変更があったモデルが数多く見かけた。とくに小型二輪(251㏄以上)は8BL-ほにゃらら、といった具合に、冒頭の英数文字が2BLから8BLに変更されたモノが目立つ。

この「8BL」というのは「平成32年(令和2年)排出ガス規制」に適合した型式であることを示している。「平成32年(令和2年)排出ガス規制」とは、新型車は2020年12月以降、継続生産車は2022年11月1日以降に生産された全バイクに対する排出ガス規制で、対象車両は従来よりも厳しい排気騒音・排ガス規制の対象となっている。この法律はすでに施行されており、その新基準を満たすべく、新型車は開発され、既存モデルは新基準を満たしたことを確認するか新基準を満たすよう改良されるか、あるいは生産終了という道を辿っている。

そしてこれは、マフラーの適合にも大きな影響を与えている。基本的に車検適合するか否かは、マフラーメーカーが申請時に型式で行なう結果に基づく。つまり「2BL-ほにゃららという型式のバイクで試験に合格したから、このマフラーは2BL-ほにゃららなら車検適合します」ということを意味する。そこに8BL-ほにゃららが登場すると、また新しく8BL-ほにゃらら用として申請するか、2BL用マフラーでも適合確認するかを確認しないと8BL用車検適合マフラーとして販売することが難しい。これは車名が同一でも同じで、型式が異なれば別モデルと認識されると思っていいだろう。そのためマフラーメーカーは2BL用と8BL用、または2022年モデル以前用と2023年モデル以降用という区分で販売することが多いようだ。2023年モデルで区分するのが多いのは、発売時期が2022年11月1日以降であることが大きいと思われる。

そして少しややこしいのが、カスタムシーンでも人気なZ900RSのケース。Z900RSは2023年モデルが2022年9月10日に発売開始となっているものの、2023年モデル以降のZ900RSはこの新規制の対象として、型式も2BL-ZR900Cから8BL-ZR900Kへと変更されている。そのため、2022年11月1日「以前」であっても2023年モデルとして発売されたZ900RSは、すでに型式が変更されているので2BL用として開発された社外マフラーは適合外という扱いだ。

それゆえにZ900RSの新車を2022年10月中に購入したとして、それが2022年モデルまでの2BLなのか、2023年モデルの8BLなのかでマフラーの選択肢は大きく変わってくることになる。「マフラーを交換したいんですが…」と量販店などで相談しても「お客様のZ900RSだと適合品がないですね」「え、そこにZ900RS用マフラーってあるじゃないですか」「あれは2BL用なんですよ。お客様のZ900RSは8BLですから適合外ですね」なんてことも大いに起こり得るわけだ。

このことからも、最新・高年式モデルのオーナーはマフラー適合に関しては年式ではなく、車両型式にも注意を払っていただきたい。2023年モデルのZ900RSのような面倒な例は現状ほとんどないだろうが、一例であっても実例は存在するし、今後も規制が強まれば同様の例が増える可能性も除外できないからだ。



人気記事