加工&処理の種類を知ろう

カスタムを進めるうえで“○×処理”や“△□コート”という名前はよく耳にする。しかし、その単語を知っていたとしても“どういった効果が望めるのか、どのような工程を踏まえるのか”といった詳細までは知らない人が多いのではないだろうか。そこで今回は、その道のプロフェッショナルに話を聞いた。理解を深めたうえで、愛機に導入するかを検討してほしい。

美しい光沢を放つ「めっき」を知ろう

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世のなかにはさまざまな加工・処理が存在するが、そのなかでもっとも認知度が高いのは“めっき”でなかろうか。しかし、その種類はさまざまだ。ここではバイク用パーツなどのめっきを手がけるメッキ工房ナカライにいろいろと話を聞いてみた。

母材をサビから保護して光沢をプラスするめっき

美しい光沢を放ち、カスタムシーンでも一定の人気を集めるのがめっき。一般家庭で使用する製品にもめっきがほどこされているケースは多い。ところで、そもそも“めっき”とは何なのかからメッキ工房ナカライの半井代表にうかがった。

「酸化してサビが発生する母材の金属の表面を、酸化しにくい金属で覆うことでサビ止めの効果をねらったり、独特の光沢で高級感を演出することが目的です。なかには電子部品に対して処理することで、電気の流れを向上させることを目的に行なうこともありますね。
このめっきはさまざまな施工方法や金属があり、目的に応じて使い分けます。当社で主に手がけているのは、装飾用のクロームめっきです。純正パーツにほどこされていることもありますが、コスト面を考えてかめっきの膜が薄いケースが多いですね。純正が5〜25ミクロンくらいの厚さで、当社が行なうと50ミクロン〜1㎜の間になります。母材の質にもよりますが、バイク用パーツの場合は厚くしたほうが光沢が高まりますし、重厚な雰囲気も出るからです」

バイクで使われているパーツの多くはめっきをほどこすことが可能。現物を見てからの判断となるが樹脂パーツにも施工でき、同社ではタンクを含めたフルめっきの外装を手がけたこともあるそうだ。

「ただ、仕上がりは母材の状態、下地処理によって左右されます。当社に施工を依頼するユーザーには最初にメールにパーツの画像を添付してもらい、状態をざっくりと確認します。そこで仮見積もりをしたうえで、納得していただけたら現物を送ってもらい本見積もりを出します。
というのも実物を見てみないと母材の状態を確認できず、実際に処理を始めると、穴が開いてしまっていたりすることが多々あるからです。表面処理を行なってめっきするのではなく、不具合があれば修正し、下地処理をキッチリと行なう。場合によってはかなりの時間をかけることも。これは下地処理を完璧にしたうえで施工しなければ、いい状態に仕上げることができないからです」

ちなみにバフ掛けと違ってノーメンテナンスで輝きをキープできると思う人もいるだろうが、それは間違い。クロームめっきには目に見えない穴が開いており、そこから腐食が始まる。定期的に研磨剤の入っていないノンワックス系クリーナーで、布にもこだわって作業してほしいとのこと。同社ではめっき専用のケミカルもリリースしているので、めっき派ライダーは活用してみよう。

取材協力メッキ工房ナカライ
URLhttps://nakarai.co.jp/


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