加工&処理の種類を知ろう

カスタムを進めるうえで“○×処理”や“△□コート”という名前はよく耳にする。しかし、その単語を知っていたとしても“どういった効果が望めるのか、どのような工程を踏まえるのか”といった詳細までは知らない人が多いのではないだろうか。そこで今回は、その道のプロフェッショナルに話を聞いた。理解を深めたうえで、愛機に導入するかを検討してほしい。

金属の質感を活かす「RXコート」を知ろう

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有名スイングアームメーカーが導入したことで、その存在がクローズアップされたRXコート。ほかのコーティングと何が違うのだろうか? RXコートを手がけるメタルコーティング・ランナーの中尾代表に話を聞いてみた。

独自の技術で薄く、強固な塗膜を構築する焼き付け塗装

カスタムシーンで人気の高いウィリーのスイングアーム。同社製スイングアームのカラーリングにはシルバーとブラックの2種類が一般的にリリースされている。シルバーはバフ掛けで仕上げられているが、ブラックは数年前からRXコートを採用し始めた。

以前ウィリーの富永代表にその採用の理由を聞いたことがある。その理由は「塗膜自体が薄く、スイングアームの母材となるアルミの質感が従来よりも高まること。その一方で薄いからキズが入りやすくては意味がない。キズに対する耐久性が高いこともポイント」との答えが返ってきた。

このRXコートとは、メタルコーティング・ランナーが独自に開発した技術だ。同社ではRXコート以外に、パウダーコートも手がけている。その違いは一体何なのか?

「RXコートはパウダーコート同様に“焼き付け塗装”に分類することができます。材料などの細かな違いについては企業秘密ですが、いくつかのねらいがあって開発しました。社外スイングアームの母材はアルミがメイン。もともとアルミは塗料の密着率がほかの金属に比べると低いのです。そのため強力に密着すること。また、スイングアームはチェーン引きにビレットパーツを組み合わせ、さらにメインパイプなどに溶接して製作されています。パウダーコートは塗膜が厚くなるため、ビレットの質感だったり、溶接ビードが膜厚でボケてしまう。それらの質感も重要なポイントだと思うので、できるだけ膜厚を薄くすること。ただ薄いからと、飛び石などに対しての耐久性が落ちてしまっては本末転倒です。そこで耐久性も考慮した結果がRXコートなのです」

こう語る中尾代表。施工の流れは企業秘密だが、下地処理をしっかりと行ない、作業は進められていく。こちらも長年の研究に基づく高いクオリティがあるからこそ、アフターパーツメーカーにも支持されているのだ。

ちなみにRXコートがほどこされるのはスイングアームが多いため、カラーリングはブラックだけだと思いがちだが、さまざまなカラーに対応している。

「カラーリングは、ブラックだけでも、全艶・8分艶・5〜6分艶が選べます。それ以外にもシルバーやゴールド、レッド・ブルー・ホワイトなどの設定もあり、艶感の調整にも対応可。ただし、RXコートは塗膜性能を優先しています。パーツの形状や素地の状態によっては再現が難しい色もあるのは事実。ただ、いろいろ対応は可能なので、希望の色があればご相談ください」

ちなみに中尾氏はポイントごとに使い分けてほしいとコメント。たとえば鉄フレームなどは、塗装色によってはローコストのパウダーコートを勧めることもあるそうだ。また、パウダーコートならではの質感を好むのも当然“あり”とのことだ。

取材協力メタルコーティング・ランナー
TEL0942-77-3044
URLhttp://runner-n2.com


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