人気車種別カスタムの道しるべ

カスタムを進めていくうえで、押さえておきたいポイントは多数ある。そのポイントは車種を問わない共通の内容ばかりではなく、その対象車種ならではのポイントもある。ここではカスタムベース車として人気の高いモデルをピックアップし、その車両を得意とするプロフェッショナルに、カスタムの方向性を聞いてみた。

CB-Fシリーズ(リモーション)編

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今なお高い人気を誇るCB-Fシリーズだが、1979年に初期型が登場してすでに40年が経過した。純正パーツの供給面などに不安を抱える同モデルだが、どんなカスタムをすることでこれからも楽しめるようになるのか?

※ここで収録する記事は基本的に過去の本誌で紹介した記事を再編集した内容となります。あらかじめご承知おきください

あたり前の劣化は進む。しかしそれ以外は堅牢で乗り続けやすい

AMAスーパーバイクでのフレディ・スペンサーの活躍や、あるいはマンガの影響もあって今なお高い人気を誇るCB-F系。しかし、すでに1979年の登場から長い年月が経過したモデルでもあり、扱いは慎重にならざるを得ない。そこでCB-F系のカスタムを数多く手がけてきたリモーション代表の横川貴彦氏に、CB-Fシリーズをカスタムするうえで、どんな点に注意しなければならないかを聞いてみた。

「まず“CB-F系はメカニカル的な弱点がない”といえるほど完成されたエンジンだと思います。しかし、さすがにオーバーホールもせずに乗り続けられることとイコールではありません。劣化する場所は劣化します。

しかし逆をいえば、そういった“当然劣化するであろう”と思われるメタルやベアリングなどを交換すれば、十分に現役として乗り続けられるバイクなのです」

完成度が非常に高いエンジンを採用しているだけに“特定部位のみが特別に劣化する”ということはないと横川氏。長い月日が経過していればあたり前に劣化する部分が劣化しているだけと強調するのであった。

「CB-F系はまだ純正パーツがメーカーからリリースされていますので、エンジンのオーバーホールに関してもそれほど心配する必要はないと思います。もちろん外装などの大物パーツは欠品だらけで、エンジンにしてもクランクケースなどはもう欠品ですが、エンジンの内部パーツ、とくに消耗品には欠品が少ないです。ただ、750/900Fはともかく、1100Fになるとカムチェーンテンショナーが欠品となっています。750/900Fはまだ共用パーツも多いのですが、1100Fは専用設計されたエンジン。現状だと1100Fはそんなリスクを抱える状態です。それに消耗品は供給は続いていても年々値上がりを続けています。

電装系にも不安がある人もいるでしょうが、CB-F系だから特別に何かが劣化する、ということはありません。30年以上も経過すれば当然コイルやメインハーネスが痛むこともありますが、CB-Fだから特別に注意してメインハーネスを全交換しなければならないわけではないのです。ステーターコイルが焼けるという事例もありますが、これは構造上どうしても劣化しますし、焼けてしまっても極端な話、コイル内の銅線を巻き直せばいいだけですからね。

キャブレターも内部パーツはまだありますから、社外品にしなければならない必然性はありません」

CB-Fシリーズ(リモーション)編 キャブレターのパイロットジェット
キャブレターのパイロットジェットは埋め込み式だが、同社経由であればジェット単体の交換が可能。そのため社外品に交換する必然性は生じていないそう

カスタムにはホンダ他車純正流用がメジャー。しかし最終的なアライメントチェックもしたい

消耗品が入手できるうちにオーバーホールをと考える人も多いだろう。となれば、各部のオーバーホールのタイミングでいろいろカスタムを進めてようと考える人もいるのではないだろうか。そこで同社が多く手がけているカスタムメニューを聞いてみた。

「純正オーバーサイズピストンも欠品ですので、ピストンが磨耗したために社外ピストンなどを利用してボアアップ、というケースが多いですね。オーバー3㎜の823㏄がスリーブ打ち換えの不要なサイズですので、もっともメジャーなチューニングメニューでしょう。

足まわりをカスタムするとなればホンダ純正の流用、とくにCB400SFなどを選択される人が多いですね。もともと750/900Fはホイールベースがやや短めです。CB400SFだとスイングアームの長さがほぼ同じになるので、ディメンションがくずれずにすむからでしょう。

フロントフォークは当社のデモ車だとCBR600Fを採用していますが、インナーチューブ径φ41㎜のフロントフォークにCB400SFのステムブラケットを流用することも多いですね。ただし、ステムブラケットに関しては最適なオフセット量やキャスター角を導き出すために、最終的にはワンオフで製作することも多いです」

フロント19・リヤ18インチのCB-F系(1100Fはフロント18・リヤ17インチ)を17インチ化する際には、ディメンションの再設定が不可欠。これはどのメーカーのどの車両にもいえることではあるのだが、他車種から仮にポン付けできるとしても、それはただ装着されているだけである。車両トータルとしてサスペンションセッティングを行なわないことには17インチ化の恩恵どころではなく、ただ乗りにくい車両になるだけだ。この点は横川氏も強調している。

「インターネットなどで“このパーツは無加工、あるいは小加工で装着できる”といった情報もあるでしょうが、それはただサイズがマッチしているだけ。ディメンションの最適化とサスペンションのセッティングは不可欠です。これはなかなか一般ユーザーが解決させるのは難しいので、プロショップに相談された方がいいでしょう」

CB-Fシリーズ(リモーション)編
CB-F系に限らず、足まわりを換装すればディメンションが純正状態と異なる。そのため、必ず車体姿勢を見直したい。適正化しなければ高性能化しているはずなのにヘタすると乗りづらくなるだけだ

かつては格安バイクだった現実も見据えてコンディション回復を考えたい

現状における注意点としては、まずフレームのアライメントチェックを勧めたいと横川氏。長く乗り続けていればフレームにも少なからず歪みや曲がりが生じることもめずらしくないためだ。その際には〝ついでに〞と補強を考える人もいるだろうが、サーキットランを想定しない限り、基本的には補強は必要としないとも横川氏は触れている。

「現在、CB-F系に乗られている方でも新車で購入されてから乗り続けている、という方は少数で、ほとんどの方は中古車で購入されたと思います。900/1100Fはプレミア化していますが、750Fは値上がり傾向にあるとはいえ、かつては中古市場で10〜20万円程度で取り引きされていた車種でもあり、今や程度のいいモノがほとんど残っていません。今から購入するなら、まずコンディション不良になっています。ですから、まずはコンディションを取り戻すことから始めてみてはいかがでしょうか」

一度しっかり直しておけば、素性がいいだけにこれからも長くCB-F系に乗り続けることはできる。むしろそういうことに目をつむり、カスタムやチューニングで解決しようとするのは本末転倒。愛車と長く付き合いたいのであれば、優先順位をブレさせず、まずしっかり手を入れたい。

CB-Fシリーズ(リモーション)編
負担がかかりやすい空冷エンジンにとってオイルは重要項目。古いモデルであれば、なおさら気を配りたいところだ。リモーションではCB-F系だとモチュール300V(15W50)のみを使用する

CB-F系に弱点はないのか?

メカニカル的には完成度の高いエンジンだが、それでも注意したい点は存在する。ステーターコイルは回転に応じてパルスを送る構造上、必ずいつかは焼けてしまう。そしてクラッチアウターなどの重要部品も純正供給が終了しているモノもある、といった点だ。なお同社ではリビルド品を展開中。

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