人気車種別カスタムの道しるべ

カスタムを進めていくうえで、押さえておきたいポイントは多数ある。そのポイントは車種を問わない共通の内容ばかりではなく、その対象車種ならではのポイントもある。ここではカスタムベース車として人気の高いモデルをピックアップし、その車両を得意とするプロフェッショナルに、カスタムの方向性を聞いてみた。

車種別カスタム:CB1300SF/SBシリーズ(オートショップアオヤマ)編

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高い完成度で人気を博しているCB-SF/SBシリーズ。どちらかというとカスタム車両の少ないモデルではあるが、どんなメニューが考えられるのだろうか。オートショップアオヤマにカスタムについての方向性を聞いた。

※ここで収録する記事は基本的に過去の本誌で紹介した記事を再編集した内容となります。あらかじめご承知おきください

不満はなくとも着手したいのは軽量化。それもタンク交換が停止時から有効だ

CB1300シリーズといえば高い完成度を誇るホンダ・ネイキッドのフラッグシップモデルだ。1998年の登場からすでに20年以上経過した今もなお、高い人気をたもっている。しかし高い完成度とはいえ、一般ユーザーがカスタムを楽しむことができないわけではない。そこでテイスト・オブ・ツクバにCB1300SBで参戦しているオートショップアオヤマ代表の青山義昭氏に、どのようなカスタムが有効かを聞いてみた。

なお、同社でもすでにCB1000SFや1300前期型であるSC40のオーナーは少なくなり、主にCB1300シリーズの後期型SC54について触れていただいた。以下、内容についてはご了解いただきたい。

「まず、何から手を付ければ有効かという話になりますと、1300系でネックとなるのは重量です。SC54も前期型のSC40より20㎏近く軽くなったとはいえ、それでも乾燥重量で200㎏を優に超えるヘビー級です。ですから、まずは軽量化というメニューが有効になってくるでしょう。

その軽量化ですが、レーサーを作る際にも感じたことですが、純正パーツはひとつひとつが結構な重量物です。それらを軽量なパーツに交換することでトータルでもかなり変わってきます」

そしてバネ下重量の軽減も効果はあるが、それよりも静止時から効果的なのは、アルミタンクへの換装が有効だと青山氏は語る。

「バイクをガレージから出すため、スタンドを払って起こす。バイクの車重をもっとも感じるのは、その一連の動作時でしょう。タンクは重心が高い位置にありますので、ここが軽くなると体感的にもずいぶん変わります。ホイール交換ももちろん軽量化に寄与しますし、乗れば軽く感じられるとは思いますが、それは走り出してからの話。前後ホイール交換に高額を支払うのであれば、アルミタンクをまず購入すれば塗装込みなら前後ホイール交換と同じくらいの金額で、しかも静止時から軽さを体感できるわけです。SC54や1000はビーターから販売されていますから、アルミタンク化による軽量化の恩恵が受けやすいですね」

1300系は社外外装パーツが豊富でもあり、ABS樹脂に比べて軽量なFRP、あるいはカーボン製パーツも多々存在している。軽量化といえばホイールやマフラーの交換、あるいはスチール製パーツをアルミ、またはチタン製への交換が定番だが、外装パーツの変更も軽量化に寄与してくれるだろうと同氏は語る。

市街地やツーリングでの乗りやすさも改善できるサスペンションパーツ交換もオススメ

軽量化と同じく、サスペンション変更も乗りやすさを大きく向上させることができるパーツとしてオートシッョブアオヤマでは交換を推奨しているパーツだ。

「純正サスペンションもダンピングなどを調整可能ではありますが、それも無段階とはいえ調整幅としてはそれほど広くありません。しかし社外品を採用すれば飛躍的に広げることができます。イニシャルひとつでワインディング、高速道路、市街地それぞれに適したセッティングに即時変更できますし、その結果、どのステージでも快適性が増すことになります」

“自分はワインディングを走らないから”と思っている人もいるだろうし、クネクネした道が苦手という人もいるだろう。しかしツーリングに行けば日本である限りワインディングには否応なく遭遇してしまう。そんなとき、不安なく走れるよう手助けをしてくれる社外サスペンションは、ツーリングライダーにも非常に有効で、同社もオススメするメニューとなっている。

「社外サスペンションはサーキットやワインディングのみ、あるいはツーリングのみで効果を発揮するものではありません。また上級者だけがその恩恵を受けられるわけでもないのです。乗りやすくするための方法として、乗り手のスキルやシチュエーションに関係なく取り入れていただければと思いますね」

パワー面の改善はまずリミッターカット、そしてサブコン導入が効果的だ

ではパワー面のパフォーマンスアップとしてはどのような手法が考えられるのだろうか。本誌で紹介する1300系も吸排気系の交換にとどめるメニューがメインで、エンジンチューンはほとんど見かけない。そもそもエンジンチューンの方法は何かあるのだろうか。

「もっともメジャーなパワーアップメニューはリミッターカットです。それだけで吹け上がり方など変わってきます。また吸気系とPGM-FIのマップを海外モデル用に変更することでフルパワー仕様にすれば国内仕様の100ps(※記事製作当時)から115psへと15psアップとなりますから、マフラー交換と同等かそれ以上のパワーアップが望めます。それでいてトルク感が希薄になったり、乗りやすさが犠牲になることもありません」

そしてマフラーを交換するのならサブコン類も装着してセッティングを出しておきたいところと同氏は語る。1300系のオーナーでモアパワーという人は少数派かもしれないが、リミッターカット、マフラー交換、サブコン追加でかなりフィーリングもスポーティなモノに変わってくるそうだ。

「ホンダ車全般にいえると思いますが、1300系は非常によくできたマシンで、完成度も高く、手を入れる必然性を感じさせないほどです。しかし、悪いことではないのですがメーカーサイドでしっかり作っている反面、許容幅が狭いと感じることがあります。将来的な拡張性を考慮したオーバースペックうんぬんではなく、そのとき実現可能なギリギリの余裕しか持たせずに作り込んでいる印象が強いですね。だから、SC40なら複数のメーカーからボアアップキットがリリースされていますが、プラス2㎜、3㎜とスリーブ打ち換えせずにすむサイズで収まっているのだと思います。ボアアップも一つの手段としては有効ですが、それよりもピストンの重量合わせやバランス取りなどをすることでフィーリングはかなり変わってきます。1300系ではまず、そういったメニューをオススメしたいですね」

最近ではCB1300STといったパニアケースを搭載してツーリングライダーを意識したモデルもリリースされ、またシートレールも一部変更されてツーリング志向が強まっている。が、弱点らしい弱点もなく、素性のよさを引き出すようなメニューを加えていけば、より操りやすく、乗りやすいマシンに仕上がっていくという1300系。オーナーでスペック不足を感じる人は少数だろうし、カスタムして性能を改善しなきゃと考える必然性は低いだろう。しかし、機能パーツを刷新することでの恩恵は大きく、シチュエーションを選ばないオールラウンダーとして、より活躍するポテンシャルを秘めている。まずは軽量化することで、車重によって抑制されているポテンシャルを引き出してあげると、より快適で楽しいバイクに仕上げられるはずです、と青山氏は締めくくるのであった。

取材協力オートショップアオヤマ
住所埼玉県川口市戸塚東2丁目10-3
電話番号048-290-6900
URLhttp://as-aoyama.com


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