メンテナンスのススメ

カスタムすることで性能を向上させる。それがカスタムする楽しみの一つでもあるが、それも正常な状態あってこそ。そして正常な状態を維持するには、純正のままでもカスタムした状態でも、各部のメンテナンスは必要なのだ。そこで性能を引き出すうえで注目したいメンテナンスポイントを挙げていこう

バッテリーチェックのススメ。寿命の長短は定期的な確認でも左右される

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多くの電子システムが搭載されている近年のバイクはもちろん、絶版車にとってもバッテリーは重要な存在。トラブルが起きると走り出せなくなることもあるバッテリーのコンディションを維持することは重要課題なのだ。

重要な存在だけにバッテリーの低能低下を避けよう

バッテリーはバイクにとって重要な存在だ。それは高度な電子デバイスを多数備えた高年式車はもちろん、絶版車にも当てはまる。バッテリーが完全に上がるとエンジンの始動ができなくなるし、押しがけなどで始動できたとしても早めにベストな状態にしなければ、ほかの電子機器に負荷をかけ、思わぬトラブルの原因にもなる。余計な修理コストをかけないためにも定期的なメンテナンスを心がけたい部分だ。

まず、バッテリーの寿命について知っておこう。バッテリーは正常な使用条件でも基本的に2年を目安に交換される消耗品だ。使用状況や個体差もあるので、必ずしも2年で全部がダメになるわけではないが、おおよその寿命として考慮に入れておきたい。

では性能が低下する原因とは何か。一番多いのは自然放電だ。ほかには盗難防止装置や時計などによる消耗も考えられる。キーをオフにしても流れる電流を暗電流と呼ぶが、古いバイクなどではスイッチやリレーのトラブルで暗電流が増えることもある。ひんぱんにバッテリーが上がる場合は配線チェックが必要となる。

それではバッテリーを長持ちさせるコツがあるのだろうか。基本的には走り続けてバッテリーを活性化させるのが一番の近道だ。なかには〝乗れないのでときどきエンジンをかけている〞という人もいるだろうが、その際に気を付けていただきたいのが、低回転では電圧が上がらない個体があること。そういった個体はアイドリング程度の回転数では十分に充電されないので、バッテリーの活性化につながらない。キチンと充電できているかはテスターなどでチェックしたい。

また、長時間アイドリングすると油圧が上がらず、熱が偏ってこもるため、カム山のカジリやオーバーヒートなど別のトラブルが発生することもあり得る。バイク全体のことを考えると、やはり走ったほうが無難だ。冬季の北国のように完全に乗れない場合は放電しないよう外しておきたい。

開放型なら見た目も重視。密閉型は定期的な補充電を

それでは現実的にバッテリーをメンテナンスする方法とはあるのだろうか。

まず開放型の場合は液面を確認し、不足していたら補充液を足す。そのうえで充電しよう。密閉型(MFバッテリー)の場合は補充できないので、専用充電器でコンディションを維持したい。たまに勘違いしている人もいるが“MF=メンテナンスフリーだから何もしなくていい”わけではない。放置すれば自然放電はするので、電圧チェックや補充電は必要となるのだ。

放置すれば性能が低下し、いずれは充電しても充電しきれなくなっていくのがバッテリーの宿命でもある。こうなると寿命を意味するが、たまにある日突然バッテリーが充電しても充電しきれなくなることもある。これを突然死ともいうが、先週までは普通に動いていたバッテリーが突然動かなくなるということは起こり得る現実。どのようなタイミングでそれが起きるか明確な条件などはわかっていないが、古いバッテリーほど起きやすいのも事実だ。それでも開放型ならバッテリー液を適正な量に維持し、開放型・密閉型ともにこまめな補充電を行なえば寿命の維持が期待できる。

純正バッテリーから他社製に変更する際には注意も必要

バッテリーが寿命、あるいは弱くなった際には交換すべきだが、そこで気になる人も多いのが激安バッテリーの存在だろう。純正品に比べて数分の一で購入できるモノも存在するが、国内正規品のほうが信頼性が高く、ショップとしても安心してお勧めできるそうだ。今回、取材に協力いただいたナップスベイサイド幸浦店では販売前に充電ずみで入荷した密閉型バッテリーをテスターで計測しているが、今まで著しく電圧が低下しているモノを見たことはないとのことだ。

また、交換時には開放型バッテリー搭載車両の場合には密閉型に変更したい人も多いだろうが、開放型と密閉型バッテリーとは基本的には代替不可なので注意したい。充電電圧の制御方法や発電方式の違いなどからバッテリーや電装系に負荷がかかるので、MF対応のレギュレーターへの交換などが必要になる。規格が似てるからといって安易に使うと、電装トラブルの原因になる危険もあるので本当に注意いただきたい。

では最近注目のリチウムイオンバッテリーだとどうだろう? これはたとえばバッテリーメーカーによっては“充電電圧が13.5V以上、14.8V以下の車両に装着可能”などと明記されているように、いくつかの条件を満たせば開放型や密閉型との互換も可能だ。ただし寒い時期はキーオンで通電して活性化させるなど、扱い方が従来のバッテリーと少々異なる点がある。今なお価格は決して安価ではないが、重量が1/3程度、始動性が良好、充電が早いなどのメリットもある。

近年注目のリチウムイオンバッテリーのチェックは?

リチウムイオンバッテリーの最大の特徴は、鉛バッテリーの1/3程度という軽さ。ほかにも始動性が良好・寿命が長い・充電時間が短い・希硫酸漏れがないなどのメリットがある。車両の充電電圧が適正であれば開放型や密閉型との互換も可能。ただしバイクの充電電圧が低いと上がりやすく、充電電圧が高すぎると壊れるというデリケートな面もある。

適正な充電器を使う

バッテリーの種類によって適正な充電器がある。開放型と密閉型には、たとえばオプティメイト4がお勧めできるとナップスベイサイド幸浦店で挙げられた。バッテリーの5段階診断や、性能低下を招くサルフェーション溶解機能、弱ったバッテリーを回復させるパルス充電機能などを搭載しているためだ。また、つなぎっぱなしで性能をキープするトリクル充電器も長期保管時には有効となる。ただし充電電圧の変化に対してシビアなリチウムイオンバッテリーには専用の充電器を使うこと。

取材協力ナップスベイサイド幸浦店
住所神奈川県横浜市金沢区幸浦2-17-1
TEL045-790-1175
URLhttp://www.naps-jp.com


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