ドレスアップ作業

バイクをカスタムする際に、速くしたいとか乗りやすくしたいといった理由もあるだろうが、バイクをよりカッコいい存在にしたいというのが動機としては大きいはず。そこでパーツ交換以外にも、バイクをカッコよくするドレスアップ作業についてここでは触れる。ただ交換するのではなく加工をともなう作業も多く、加工すれば容易に元戻りにはできないこともあるが、それだけに他人と違ったマシンを作るには効果的なのだ。

ペイント作業

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ペイントは焦らずじっくりと構えることがポイント

自宅でできるDIYカスタムのうち、もっとも愛車の雰囲気を変更できるのがペイントだ。わずか一部だけであっても純正車両とは異なるカラーリングとなれば、個性出しや差別化に大きく影響する。たとえばカーボンパーツを導入したり、チタン製パーツに交換するのとは異なり、コストを大きく抑えつつ、全体の雰囲気刷新も可能だ。

現在、塗料そのものも頑強な塗膜が得られるウレタン系が市販品として(場合によってはホームセンターでも)入手可能。かつてのようにアクリル系かラッカー系か、といった二択ではなくなっているので、好みで選んでもいいだろう。

ちなみにアクリル系、ラッカー系、ウレタン系の違いだが、アクリル系は発色がよく重ね塗りしやすいのが特徴。ラッカー系は塗膜が厚くて耐久性があるが重ね塗りはできない(強いので下塗りを侵食する恐れあり)、ウレタン系は塗膜が厚くて丈夫だが乾燥時間が長い、といった具合に長所と欠点をそれぞれ備えている。

使用上の一番の注意点だが、塗装の種類はできるだけ混在させないこと。とくにラッカー系やウレタン系は強い塗料でもあるので、アクリル系との相性がよくない。アクリル系を使うなら極力サフェーサーからクリアまで一貫してアクリル系を使用したほうが無難だ。

なお、バイク用塗料としてメジャーなのはラッカー系とウレタン系で、現在だとウレタン系が主流だ。

塗料の種類
塗料とひと言でいっても種類もあれば用途ごとの特性も異なる。また価格によってもその仕上がりに差が生じることもあるとか。よくわからないなら“バイク用”と明記されているモノを選ぶのが最善だ

さて、ペイントするにあたっての注意点に触れていきたいが、順序としては①下地作り ②下塗り ③本塗り ④クリア ⑤仕上げという行程を経ることになる。それぞれに注意点はあるが、共通して言えることは丁寧に作業すること。そしてあせらず余裕をもって作業することだ。

丁寧というのはバフ掛けやステッカーでも同じように触れているが、カスタムのあらゆる作業に共通する話。たとえば下地作りで適当に仕上げたところ表面に凹凸があったり、妙なキズが残ったままだと、仕上がりに大きく影響を与える。下塗りも手を抜くと本塗りの光沢を損ねることもある。クリアも注意していないとゴミが付着してしまうことも。

また余裕を持つというのは時間管理にも言えること。ペイントとは塗料が乾いてから次の行程に進むので、この乾燥する時間をしっかりキープすることを重視しよう。『もう表面が乾いたみたいだし、もう次に進んでもいいか』は基本NG。できるなら丸一日は自然乾燥させるため放置する、くらいの心構えでもいいくらいだ。何事も焦っていいことは起こらないので、完成を急ぎたい気持ちがあっても落ち着いた作業こそが、のちのちの完成度の高さにつながるのだ。

ペイントというと機材や塗料の種類といったハード面、あるいは施工者のスキルといったソフト面に注意が向きがちだが、プロでも(いやプロだからこそ)下準備には余念がなく、その準備をどれだけしっかり行なうのかが最終的な仕上がりの違いともいえるのだ。

事前に用意したい塗料以外の用品類

ペイントといえば塗料が入った缶スプレーさえ購入すれば完結できるわけではない。いや完結させようと思えば可能だが、より美しい表面を得たいなら不十分だ。そこで、より完成度を高めるために用意しておきたい用品類をここでは挙げる。いずれも安価だが、なければその場での代用が効かないモノばかり。行ないたい作業がストップすることもあるので、ぜひ忘れず用意しておこう。

適した環境づくりも大事だ

塗料には使用条件が記載されていることが多い。たとえば”気温20度・湿度65%”と明記されていれば、その条件をできるだけ満たす環境を整えたい。暑すぎず、寒すぎず、質と度の高くない春/秋の日中がペイントするには最適な時期なのだ

ペイント作業 適した環境
ペイント作業 適した環境
さらに欲を言えば無風状態の密閉空間があると、なおよい。塗料が飛散しないこととゴミ付着のリスク低減のためだ

実際の注意点は? 実録した作業からひも解く、DIYペイントのコツ

ここでは過去に本誌で取り上げたペイント特集のなかから実作業の注意点に触れていく。缶スプレーでも正しい使い方を行なえば、プロの施工に肉薄することもできるのだ。

下地作り

塗装の仕上がりを大きく左右する下地作り。油分など塗料の密着性を損なう要素を取り除き、逆に塗料を密着させやすくするための準備となる。またキズなどの修正を行なうパートだ。

ペイント作業 下地作り
ペイント作業 下地作り
まずは下地作りのため、耐水ペーパー#800を用いて全体をムラなく研いでいく。水を付けてはペーパーをあて、を繰り返す。なおペーパーはなでる程度にとどめておく。それでも十分だ

下塗り

素材にもよるが、素材が暗いモノの場合、明るい色を塗ろうとすると下から暗い色が浮き出てくる。その浮き出しを抑える作業が下塗りだ。なおサフェーサーもあれば使った方が色を抑えやすいが、なければ白でも代用可。

ペイント作業 塗り方
ペイント作業 塗り方
肝心の塗り方だが、塗装した部分が重ならないように一層を塗ったら次の未塗装部分へ移動。また塗装が乾きすぎないよう、塗りすぎないよう20cm前後の距離をたもって塗っていく

ペイント作業 さらに重ね塗り
ペイント作業 さらに重ね塗り
水分を完全にふき取ったらさらに重ね塗りを開始。先ほどと同じように一層塗ったら次の場所に移動する。決して同じ場所に“薄いな…”と乾燥もしていないのに重ね塗りはしない。塗料がタレて失敗のもとになる

本塗装

やっと塗装の本番に移る。ここまで長々と準備をしてきたが、塗装はそういった準備に時間と手間がかかるということがわかっていただけたかと思う。“準備9割、本番1割”の世界なのだ。ではここまでの下塗りでつかんだ感覚をもとに、本塗りに挑戦してみよう。

ペイント作業 すばやく動かして塗っていく
ペイント作業 すばやく動かして塗っていく
ペイント作業 すばやく動かして塗っていく
ノズルの距離が対象と均一になるよう、すばやく動かして塗っていく。このように平面ならわかりやすいが、曲面なども一定の距離をたもつように気を付けること。また2度塗りはさける

使用した製品はこちら

ペイント作業 使用したもの
これが今回使用した缶スプレー3本とコンパウンド2種類(研磨用と仕上げ用)。合計でも缶スプレー1本1,000円程度+コンパウンド1本840円と、5,000円以下とリーズナブル
※写真は企画当時の製品です

ペイントは後戻りできない作業だとも肝に銘じておこう

ペイントは後戻りできないという欠点があるのもよく承知しておこう。“これは失敗したかな”と後悔しても、純正に戻すのは不可能といっていい。ペイントは二度と復旧できないので、場合によっては外装をもうひと揃え用意し、最悪の場合にはそちらに変更することも考慮しておきたい。

また、失敗を恐れて中古で外装を用意し、そちらをペイントするケースも実際問題として多いようだが、これはあまりお勧めできない。というのも中古はキズや割れなどが理由で格安で入手できることが多いものの、その修復をしっかりできないと仕上がりを大きく損なうこともあり得る。とくに古い純正ステッカーの除去が上手くいかないことが多々あり、そのため表面がデコボコが残った…、なんてことも。

繰り返しになるが、ペイントとは手を抜けば抜くほど途端に、あからさまにトラブルとして浮上する。脱脂が十分でなかったために塗装にウキが出たり、乾燥時間を短縮したがためにタレが出たり、何か無理をしようとすると、仕上がりを大きく損なう結果として返ってくるものだ。なので、一つ一つの作業を丁寧に行なうことを心がけ、ペイントに挑戦していただきたい。


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