今回は見た目をすっきりさせる目的のフェンダーレスキットを取り扱う。作業としては簡単だが、カスタム作業に不慣れな段階で行なうことが多いからこそ、周囲や当該パーツを不用意に傷付けないよう細心の注意を払いたい。
所要時間:60分〜
カスタム初期の交換機会が多いからこそ、フェンダーレスキットは慎重・確実に交換したい
フェンダーレスキットはカスタム初期に着手するケースが多いと思うが、それだけに工具の扱いに不慣れな状態で作業を進めるケースも多い。そのため作業を慎重に進めたいところだ。もっとも気を付けるべきポイントは純正外装の着脱だろう。
「近年のモデルは外側にボルトを露出させず、カウル同士を差し込み式にしていることがめずらしくありません。そのうえ、ボルトを隠す設計も多いので、どこにボルトがあるのかをサービスマニュアルなどで確認するのが鉄則ですね」
ネイキッドだとウインカー着脱に伴ってウインカーを外すことが多いため、コワースやサンセイレーシングを取り扱うダックスコーポレーションの細貝憂樹氏も、その点をまず注意してもらいたいと指摘する。また、ウインカーだけではなくテールランプなど配線を取り外したり、車種によってはナンバー灯を新設する必要も生じるので、配線の扱いにも注意しよう。フェンダーレスキットの取り付けそのものは複雑ではないが、関連した作業や注意すべきポイントは少ないわけではない。最初ならなおのこと細心の注意を払いたい。
フェンダーレスキット装着前に用意するモノ
コワース製は購入時に分解されているので、組み立てには最低でも10mmレンチを用意したい。なお、ここで紹介する工具は外装を取り外すための工具が大半となる。これは車種によって選択肢が異なるので注意が必要だ。
Tレンチとヘックスソケットがあると力を入れやすいのでLレンチより扱いやすい。またプラスドライバーは外装用、マイナスドライバーは配線の取り外しで活用したい
LEDナンバー灯が付属する同社製フェンダーレスキットには装着時に配線処理が必要だ。そのためにはプライヤーが1本あると圧着時に便利だ
ノーマルフェンダーを外そう
フェンダーレスキットはフェンダーの一部を交換する作業が必要だ。そのためテールカウルを取り外す必要があれば、最初にボルトの位置と数を確認すること。ネジの外し忘れがあるのに気付かないと破損につながりやすい。なお、今回はCB1300SBを題材としている。
CB1300SBだとタンデム用グリップの取り付けネジにはカバーが存在する。こういうカバーを外すにはマイナスドライバーが有効だが、カバーをキズ付けないようセロテープを先端に貼るといい
テールカウルはシートレールを挟み込むように装着されているケースが多いため、カウルとシートレールが干渉しないようカウル側を広げて外そう。なお、無理に広げると割れてしまうので注意
車種によってはナンバーの裏に固定用のネジが潜んでいることも。簡単にカウルやフェンダーが外れない場合、何かに引っかかっているか、ネジが外れていないかの2択だ。周囲をよく確認すること
フェンダーレスキットを装着する
製品は分解されているが、組み立てそのものは2本のボルトで連結するだけと非常に簡略化されている。むしろ取り付け時に外装や周辺パーツを破損させないことを重視し、作業に取りかかりたい。
こちらがコワース製CB1300SF/SB用フェンダーレスキットの内包物だ。フェンダーレス化するとリフレクターがなくなるが、キットには付属していない。走行前に別途購入することを忘れないようにしよう
フェンダーは車体末端なので振動が多い部分だが、それを心配して力任せに締結させようとしないこと。樹脂なので割れると再生が困難だ。割れないように意識して締結しよう
同社製はロックナットが使われており、ただ締めるだけでは途中で抵抗を感じる。その手ごたえを“締まった”と認識する人も多いので、ナットにネジがしっかり入っているか確認しよう
[ケーブルは丁寧に扱おう]カプラーが抜けにくいからとツメをこじったり、ケーブルを持って力任せに引くとカプラー破損や断線の原因になる。先に挙げたマイナスドライバーでツメだけ押して外すようにしたい
フェンダーレスキットは多くの場合、テールカウルを外す直前に配線を取り外すよう指示される。カプラーが採用されているが、外しにくくても力任せに外さないように。壊す原因になりやすい
CB1300SF/SBはウインカーを付け直す必要があるが、このとき左右を間違えて装着するケースが多いそうだ。そのため片側を外したら“そのままキットに装着すること”を細貝氏は推奨する
純正フェンダーは振動対策なのか意外と重いことが多い。そのためボルトを取り外す際には必ず片手で保持しよう。いきなり脱落して周囲をキズつけることもあるからだ
CB1300SF/SBの場合だが、フェンダーはステーを介して車体に装着する形になる。車種によって取り付け方は異なるので、必ずサービスマニュアルを用意し、取り付け方を確認したい
同社製はLEDナンバー灯が付属する。写真のように結線されていないので、付属するターミナルアダプターで結線すること。説明書を熟読したうえで右ページで紹介したプライヤーで結線しよう
CB1300SBは視認しにくい裏側にも外装を留めるネジが潜んでいる。タイヤに近いので作業しにくいが、短いクリップスタビータイプがあるとタイヤと干渉せず作業可能だ
あとはシートを戻すだけ、という段階になったら、必ずシートの開閉状態を確認してから戻そう。交換作業中に開閉できなくなっていて、閉じ込みが発生したこともあるそうだ
フェンダーレスキット装着後のセッティング
フェンダーレスキットで何か調整する必要があるのか?と思われそうだが、実は行なうべきことは存在する。しかも法規に関係するため、必ず走行前に確認しておきたい。場合によっては違反切符の対象だ。
ナンバー灯がナンバー全体をキチンと照らしているかを必ずチェックしよう。万一にも取り付けがズレているとキチンと照らさない状態になり、違法状態になってしまうからだ
同社製は車高やタイヤとの兼ね合いを考え、現在はナンバーの角度を微調整できるようになっている。そのため取り付け時にナンバーが斜めになることも。左右対称になるよう確認したい