カスタムの疑問

自分好みの乗り味やスタイルに愛機を構築していくのがカスタムだ。自由な発想のもと、理想形に近付けていくことは、バイクライフにおける楽しみの一つでもある。しかし、いくら自由な発想といっても、押さえておかなければいけないポイントは多数ある。公道を走る以上、安全面や法規面でクリアしなければならない要素は多く、また正常に各部を機能させるためのノウハウも必要になるのだ。そこで多くのライダーが抱いているであろうカスタムに対する疑問を抽出し、その解答を探っていく。

[外装系カスタムの疑問]ナンバーの取り付け角度ってどうなっているの?

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外装系カスタムの疑問
ナンバーの取り付け角度はどう規定されている?
実は2016年まで決まっていませんでした

まずは法律の規定から再確認しよう

3月9日、国土交通省はナンバープレートの表示にかかわる新基準適用までの期間を令和3年(2021年)10月1日以降に初めて登録等を受ける自動車(二輪・四輪車)に適用するとし、令和3年(2021年)4月1日以降に初めて登録等を受ける自動車に適用するとしていた猶予期間から延長すると発表した。

(参考)国土交通省『車のナンバープレートの表示に係る新基準適用までの猶予期間を延長します車のナンバープレートの表示に係る新基準適用までの猶予期間を延長します』(令和3年3月9日)

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha06_hh_000119.html

今イチ旧車乗りにはピンと来ない話題かもしれないが、ナンバープレートの表示方式は平成28年(2016年)4月1日に施行された、道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律(平成27年法律第44号)並びにナンバープレートの表示の位置・方法の詳細について定めた道路運送車両法施行規則等の一部を改正する省令及び関連告示によって厳格化されることが決定している。

これによりナンバープレートの表示方法は平成28年(2016年)4月1日までの状態と、それ以降、そして令和3年(2021年)10月1日以降の3段階で定められることになる。

旧車に乗っていると新しい法律が自分のバイクに適用されないと思っている人も多いが、この新基準は令和3年(2021年)10月1日以降に初めて登録・検査・使用の届け出があるすべてのバイクが対象となる。今現在も、新基準に基づいたナンバープレートの表示が一部義務付けられていて、平成28年(2016年)4月1日までの“あいまい”な状態では違法行為となりかねないこともあるのでご注意いただきたい。

では、その新基準とは何か。ここであらためてナンバープレート(自動車登録番号標)についての法律から整理して解説しよう。バイクを含むナンバープレートの表示義務は道路運送車両法によって定められている。バイクに関連するのは以下の2つだ。

(自動車登録番号標等の表示の義務)
第十九条

自動車は、国土交通省令で定めるところにより、第十一条第一項(同条第二項及び第十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定により国土交通大臣又は第二十五条の自動車登録番号標交付代行者から交付を受けた自動車登録番号標及びこれに記載された自動車登録番号を見やすいように表示しなければ、運行の用に供してはならない。

(車両番号標の表示の義務等)
第七十三条

検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車は、国土交通省令で定める位置に第六十条第一項後段の規定により指定を受けた車両番号を記載した車両番号標を表示し、かつ、その車両番号を見やすいように表示しなければ、これを運行の用に供してはならない。

罰則も定められていて、第百九条により違反すると五十万円以下の罰金に処されることになっている。

では、そのナンバープレートをどう表示しなければならないのかという規定は、国土交通省令(道路運送車両法施行規則)によって規定される。少し長いが以下に引用する。

(自動車登録番号標の取付け位置)
第七条

法第十一条第一項 (同条第二項 及び第十四条第二項 において準用する場合を含む。)及び第五項 並びに法第二十条第四項の規定による自動車登録番号標の取付けは、自動車の前面及び後面の見やすい位置に確実に行うものとする。ただし、三輪自動車、被牽引自動車又は国土交通大臣の指定する大型特殊自動車にあつては、前面の自動車登録番号標を省略することができる。

(自動車登録番号標等の表示)
第八条の二

法第十九条の規定による自動車登録番号標及びこれに記載された自動車登録番号の表示は、自動車の運行中自動車登録番号が判読できるように、自動車登録番号標を自動車の前面及び後面の見やすい位置に確実に取り付けることによつて行うものとする。(以下省略)

(検査対象軽自動車及び二輪の小型自動車の車両番号標の表示位置)
第四十三条の七

法第七十三条第一項の国土交通省令で定める位置は、次のとおりとする。
三輪の検査対象軽自動車若しくは被けん引自動車である検査対象軽自動車又は二輪の小型自動車にあつては、その後面の見やすい位置
前号に掲げる検査対象軽自動車以外の検査対象軽自動車にあつては、その前面及び後面の見やすい位置

以上を端的にまとめるなら、ナンバーを見やすいように取り付けることが定められているというわけだ。

では「見やすいように取り付ける」とはどう規定されているのか。これは「道路運送車両法及び関係政省令の一部改正に伴う登録業務及び軽自動車の届出関係業務の取扱いについて(昭和38年10月3日付け 自管第76号)」という通達で定められている。以下で内容を引用する。

(視認性)

番号標の視認性が、次の基準に適合していること。
(イ) 照度が一様に200ルクス程度の場所で、地上1メートルの高さの位置に番号標を横長に保持した場合に、番号標から20メートルの距離をへだてて、番号標に正対した位置並びに番号標の中心点と観察者とを結ぶ線が、番号標の板面に対し左右それぞれ15度及び30度の角度となる位置から番号標に表示された文字等が明瞭に識別できること。
(ロ) 暗夜又は暗室内において、地上1メートルの高さの位置に番号標を横長に垂直に保持し、番号標板面における照度を10ルクスに照明した場合に、番号標から20メートルの距離をへだてて、番号標に正対した位置並びに番号標の中心点と観察者とを結ぶ線が、番号標の板面に対し左右それぞれ15度及び30度の角度となる位置から番号標に表示された文字等が明瞭に識別できること。
(注) 視認性は、3人以上(奇数)の視力の正常な観察者によって確認すること。

以上を端的に説明すると、昼間、夜間ともに、後方から一定の距離・角度を隔ててナンバープレートを3人以上で視認し、確認できる状態にすることとされているのだ。

ここで「おや?」と思った人も多いだろう。そう、過去には取り付け角度や位置に関して、具体的な規定がなかったのだ。

つまるところ、ナンバープレートをカチ上げるように斜めに取り付けたり、場合によっては縦にしたり、丸く曲げてみたり、左右方向に角度を設けたりしても、直ちに違法行為とならなかったのはそんな理由があるからだ。もちろん反対方向にしたりテールカウルの内側に張り付けることで「ナンバーが見にくい」と判断されることはあった。

(参考)国土交通省『ナンバープレートの表示及び視認性についての法的整理』

https://www.mlit.go.jp/common/000040182.pdf

2016年からナンバーの表示方法は既存登録車両を含めて一部厳格化

ナンバープレートの取り付け方法に具体的な基準がなかったことを受け、平成28年(2016年)4月1日以降、最初に触れたような法律の改訂が行われ、新しい基準が採用されるようになった。これは最初にも触れたように令和3年(2021年)10月1日以降に登録・検査・使用される全車両に適用されることになるが、平成28年(2016年)4月1日以降は、既存のバイクを含めて①カバーなどでナンバー被覆すること(無色透明含む)②シールなどを貼り付けること③汚れた状態とすること④回転させて表示すること⑤折り返すことなど、が明確に禁止されることになった。

繰り返しになるが、これらの5点は平成28年(2016年)4月1日以降に登録・検査・使用される“すべての車両”が適用されている。「平成28年(2016年)4月1日以降に登録された車両に限る」のではないので注意していただきたい。一番最初に適用が10月1日まで延期されたというニュースを紹介したが、これは先に挙げた5点以外の規定が全面適用されるまでの猶予期間のことを意味する。

さらに、令和3年(2021年)10月1日以降に登録・検査・使用される全車両は、一定範囲の上下向き・左右向きの角度によらなければならないこと、フレーム・ボルトカバーを取り付ける場合は一定の大きさ以下のものでなければならないこととなり、同日以降はすべての車両がこの新基準に従うこととされている。

具体的にはバイクのナンバープレートだと上向き40度、下向き15度、左右の角度は0度、回転は水平での取り付けが義務付けられることになる。またナンバープレートへのフレーム装着は禁止され、取り付け用ボルトカバーは厚さ9㎜以下、直径28㎜以下でナンバーに被覆しないモノであることが定められているのだ。

この時間の流れなどは国土交通省が公開する「車のナンバープレートの表示に係る新基準」としてPDFも公開されているので、PDF内2ページ目をよくご確認いただきたい。

2016年4月1日以前のフェンダーレスキットは2021年10月1日以降に違法になることも

令和3年(2021年)3月現在、ナンバーの角度についての規定やフレーム装着の有無は道路交通法によって規定されているわけではない。現在禁止されているのは上記でも触れた、①カバーなどでナンバー被覆すること(無色透明含む)②シールなどを貼り付けること③汚れた状態とすること④回転させて表示すること⑤折り返すことなど、の5点は全年式で適用されているのみだ。

では過去に発売されたフェンダーレスキットやナンバープレート取り付けステーは今後、違法となるのか? それはケースバイケースで、場合によっては違法となってしまうこともあるだろう。

過去製品に関しては、およそ45度を上限として各社外パーツメーカーは製作していたようだ。これは複数の社外パーツメーカーに話を聞いての総合的な話となるが、先駆者的な社外パーツメーカーは45度がナンバープレートの視認性にも問題なく、かつ見た目的にも最適と判断して製作したとのことだった。さらにそのメーカー製フェンダーレスキットが車検場で車検適合とされた実績があり、その実績が前例となって、だいたい他社もこの角度に落ち着いたようなのだが、45度には法的な根拠があったわけではない。

繰り返しになるが、令和3年(2021年)10月1日からは40度までという明確な法的根拠が生じる。ゆえに新基準が発表されて以降、各メーカーは新基準適合として角度40度以内のフェンダーレスキットを多数リリースしているわけだ。

ここで誤解していただきたくないのだが、フェンダーレス化そのものが悪いというわけではないし、フェンダーレスキットそのものは違法な存在ではない。平成28年(2016年)4月1日以降に適用される新基準に従った市販品を使えば、まず間違いなく適法にフェンダーレスカスタムを今後も楽しめるのだ。しかし、今後はその取り付け方によっては違法となり得ることもあり得る。10月1日以降も楽しくバイクに乗っていただけるよう、ナンバープレートの取り付けには今一度、注意を払っていただきたい。

四ッ井 和彰

元・本誌副編集長。バイク業界歴は10数年。現地取材、撮影、原稿執筆まで一貫して一人で行なうことが多いワンマンアーミー。現在はwebカスタムピープルなどクレタ運営のバイク系ウェブサイト4誌分の記事製作を担当中



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